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当教室の特徴
ABOUT
日本大学救急医学教室(日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野)は1992年に新設された教室であり、
都内2か所に大規模な救命救急センターを擁しています。
取り扱う患者として重症外傷、脳卒中、急性冠症候群(急性心筋梗塞)、急性腹症、急性中毒、重症熱傷、
心肺停止、急性心不全、急性呼吸不全などの重症患者が主体であり
この様な症例に対する治療・手術・集中治療管理を得意分野として全身管理という立場から多くの研究を行っております。
特に集中治療は世界トップレベルであり、重症者に対する呼吸・循環管理、感染制御、栄養管理、血液浄化療法を施行しています。
また、緊急手術や各種血管内カテーテル手術・治療などは、救命救急センター内に併設してある血管撮影室・手術室などで積極的に行っています。
集中治療室としてICU、HCU、BCU (burn care unit)、CCU (coronary care unit)、SCU (stroke care unit)が併設され、
一般集中治療とともに急性冠疾患、脳卒中などの診療修練が初期診療だけでなく、主治医として最後まで担当できます。
また、日本大学医学部附属板橋病院は、東京都からスーパー総合周産期センターとこども救命センターに指定されており、
両方に指定されているのは唯一の医療機関となります。
0歳児から高齢者まで、妊婦までを初期診療から集中治療までを経験することが可能となります。
教育について
救急科専門医、集中治療専門医の取得を目標としています。救急医療に必要な内科系、外科系あるいは麻酔系の研修も可能です。希望に応じて医学博士の学位取得を目指ことが可能です。これらの資格取得を希望しない場合や短期の救急・集中治療研修も受け入れ可能です。個別の目標に応じた研修プログラムを一緒に検討しています。
多職種との勉強会や症例検討会、論文の抄読会、専門医による教育回診なども定期的に行っています。
大学院について
学位取得は専門医の取得と平行して行います。最短で4年次までに博士論文を作成し博士課程を修了します。大学院へ進学しない場合でも、医育医療機関での研究歴に応じて追加研究を行い、学位(医学博士)を目指すことが可能です。
大学院の進め
医師は、常に進歩している医学・医療のなかで、患者さんにとって有益な情報を正しく取り入れ、実践できる力が求められます。大学院では、臨床研究を通じて最新の医学・医療の考え方やデータの解釈の仕方、科学雑誌に掲載された論文の評価の仕方などの基礎的な内容を臨床での仕事をしながら学びます。一生涯臨床医であり続ける基本的な「医学」の考え方を学ぶ場、それが大学院です。当教室では働きながら専門医と医学博士を取得する大学院プログラムを用意しています。
学問をすることに制限・制約はありません。いつでも構いませんので、ご相談にいらして下さい。
各種シミュレーション
トレーニング
当教室では、シュミレーショントレーニングを積極的に行っており、専門医受験や更新に必要なコースの受講やインストラクターの取得が可能です。
研究について
研究として過大侵襲時の生体反応に関する基礎研究、分子生物学的な研究を積極的に行っており、また、温度変化や血糖の変化における血管内皮細胞の分子生物学的なアプローチとしてサイトカインの産生の変化やreal-time RT PCR 法によるmRNAの測定等を行っております。今後は、再生医療の分野にも展開していく予定です。
臨床研究として、重症敗血症に対する血液浄化療法や全身管理法、心肺停止蘇生後における脳低温療法、外傷における血管内塞栓療法、重症呼吸不全に関する呼吸管理法等の研究を行っております。
国外留学は、後期臨床研修5年目(専門医取得後)を基本としますが、希望により早い時期の留学も可能です。
教室での研究
STUDY
01
心停止後症候群の患者の脳機能を早期に評価することは難しく、これまでの報告では24時間以内に確立した方法は報告されていない。脳波持続モニタと脳代謝モニタリング(rSO2)の同時解析の報告はなく、これらの手法を用いて早期脳機能予測を行う。これまでの当教室研究結果によると、同時測定を行うことにより早期脳機能予測可能であるデータが出ている。症例数を増やした追加研究を行う。
02
敗血症などで認められる多臓器傷害の一臓傷害臓器として「脳」が挙げられる。脳傷害の臨床症状として、「せん妄」から「昏睡」までさまざまな病態が報告されている。しかし、多くの集中治療医は、多臓器傷害に対して呼吸・循環モニタリングを駆使して治療に取り組んでいるが、「脳傷害」に対しては、脳機能のモニタリングが行われる頻度は少なく、その臨床的意義も明確ではない。当教室では、多臓器傷害の一臓器である「脳傷害」における集中治療の必要性を明らかにする。
03
小児急性脳症は、未だ転帰不良の病態である。小児急性脳症の臨床的特徴やバイオマーカーの網羅的検索から、転帰不良の要因を明らかにして転帰改善のための方策を検索する。
04
重症敗血症などの過大侵襲患者では、来院時高血糖と転帰の関係がある。しかし、経験的に転帰不良の敗血症では、来院時血糖がむしろ低下している症例ある。これらの詳細を検討した研究は少なく、低血糖も敗血症重症度と来院時低血糖の関連について臨床的な検討を行う。最終的には、敗血症症例で来院時低血糖における転帰と内分泌状態の検討を行う。
05
心停止中および自己心拍再開後の脳傷害患者に対して、非侵襲的な脳保護装置として、肺冷却装置を考案した。既に冷却した酸素を投与することで肺血液を冷却することにより脳を冷却する方法の開発(科研費番号 24592751)している。ボランティア検討の論文報告を行い、実際の患者への応用を策定する。
06
未だ侵襲の高い症例に対する栄養療法は、確立していない。特に血清中の脂質代謝とビタミンの役割は明らかでなく、重症患者の転帰改善にはどのような栄養療法が必要かを脂質代謝の面から明らかにする。
07
総務省消防庁、臨床救急医学会の元で、病院前や病院内の緊急度判定データを検討して病院内の緊急度判定による患者トリアージの充実・普及するために必要な活動を明らかにする。これにより発症してから病院を受診し医師にかかるまでの過程を一貫して管理し、医療資源の有効活用が可能となる。
08
東京都の救急電話医療相談(#7119)の運営を行い、そこでの検証票を通してより安全なシステム構築を目指す
09
心停止蘇生後、敗血症、脳梗塞の転帰と関連のあるバイオマーカーを検討し病態を解析する。これらの研究は、東京工科大学応用生物学部 応用生物学科 山本順寛教授と共同研究である。
10
妊産婦死亡率を低下させるために、救急医学会、産婦人科学会、産婦人科医会、麻酔科学会と共同で “危機的母体”を安定化させるトレーニングコースを作成して全国へ広めてゆく活動を行う。
11
消化管穿孔による敗血症性ショックを血液浄化法や手術療法を通して改善する検討を行う。